2008年10月31日

読書、映画祭応募作の選考

 10月29日(水)
 映画関係の作業はちょっと休んで読書。
 佐野眞一著「東電OL殺人事件」。この前紹介した桐野夏生著「グロテスク」のモチーフとなった事件を追ったノンフィクションです。
 この事件は、東京電力に務めるエリート女性社員が数年間に渡り夜に売春をしてて(ホテトルに所属しつつ街中で直引きもして時には数千円で屋外で売春行為をすることもあったらしい)、多分売春をしながら客に殺され空家になっていた木造アパートで死後3週間後に発見されたという話題性から始まって、過熱したマスコミによる被害者やその家族への2次被害を通過し、殺人容疑で逮捕された不法就労のネパール人がどうも冤罪くさい、逮捕拘留等について多分に外国人差別があったんじゃないかというところに辿り着いているという非常に複雑な事件です(裁判は最高裁までいって無期懲役が確定。再審請求中)。
 このノンフィクションは、被害者の関係者になかなか接触できないとこを告白しつつ、捜査や裁判経過に重点を置いて書きながら、このOLがなぜこのような生活をすることになったのかを探ろうとしています。最終的には、とても彼女の心の闇を探り出すことは出来ない、でも彼女になぜか惹かれてしまうという作者の正直さ、真摯さがあって好感のもてる本でした。
 それにしてもとても一言では語れない重くて複雑な事件ですね。

 10月30日(木)
 今日も読書。村上春樹他による「東京するめクラブ地球のはぐれ方」。村上春樹のゆるい系旅雑文集です。文庫が出てたので買ってきました。面白い面白いと読んでしまう。名古屋編がトップで、これもなかなか面白いです(怒る人もいそうだけど)。
 
 それから、ここ数日、『少したのしい』の修正カットを撮影の岩松さんにファイルバンクで少しずつ送る。
 映り込み(画面の端にレフ板とか人影とかが映ってしまっていること)や画面の揺れ(クレーンや移動撮影で不必要な揺れがある場合)を修正してもらうためです。そういうことが出来るんですよ。基本的には1フレームずつ(1秒間に24とか30のフレームの連続で動いている)修正していくわけです(多分)。お疲れ様です、岩松さん。

 10月31日(金)
 夜8時から、M.I.F.の広報担当の映画祭に向けての打ち合わせに参加。昨年私が担当したので引継ぎのため。宮町のサイゼリアにて。
 家に帰ってからは、11時から映画祭上映作の応募作の選考について石川君と伴野紀子さんとスカイプ打ち合わせ。スカイプってのはPCで複数人で話が出来る便利な電話です。無料です。でも久しぶりのスカイプで、マイク繋げたら調子悪くて手間取った。2次選考上映会(2次選考はメンバーみんなで鑑賞して決めます)を11月7・8日にすることを決める。

 選考について、私が担当した3班(M.I.F.メンバーを3つの班に分け、応募作を3グループに分けて、それぞれ鑑賞評価して選考するのが1次審査なのです)の結果を整理する。単純に評価点だけではどうしても画一的な評価になってしまうので(小坂本町一丁目映画祭はコンテストではないというコンセプトもあり、尺やジャンルや作り方の体制や色々なことを考慮して上映作を決めてます)、点数平均だけでなくて、順位平均やジャンル分けやその他いろいろな検証資料を作成する。
 エクセル相手ですごーく大変で地道な作業だった。
 
 でも、全国から応募してくれた方々の気持ちを思うと、こういうのは疎かに出来ないんですよね。
 私も作った映画を全国の色々な映画祭やコンペに応募してて、入選するかしないかは審査員の好みとか上映作の配分とか運とかに非常に左右されるということはわかりつつも、でも落選の知らせが届くとやっぱりがっかりしますからね。そういうのを思うと本当に責任重大だと思ってます。

 今回1次審査では、各班9人で相対的な基準として評価点数をつけたのですが、9人の配点を見ても人によって評価というのは本当に全く違うのだなという印象を改めて持ちました。評価点平均選考を基準とする限り、わかりにくいものよりわかりやすいもの、とんがっているものよりまとまっているものが点数が高くなりやすいということを差し引いても、わかりやすいまとまった作品の中でも各人によってやはり評価が違います。これは、好みとか、どこに重点を置いて観てるのかとか、それぞれの映画観の違いなんですよねぇ、多分。
 だから、もし応募した方、色々なコンペに応募してる方でこれを読んでる人がいたら大きな声で言っちゃいますが、上映されるかされないかは本当にちょっとした運というか映画祭ごとの好み傾向というかそういうものですのでどうか気にしないでください。「私の作品上映しないなんて、わかってねーなー」って思ってください。
 だって、私は17本観ましたが、半分、いや3分の2は「上映しても全然大丈夫だなぁ、この作品のここは捨てがたいなぁ」って思いましたから。まあ、あとの3分の1は・・・、がんばってください。



Posted by みふだいひょう at 23:00│Comments(0)
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読書、映画祭応募作の選考
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